ときどき意味もなくずんずん歩く/宮田珠己
私の中に、「旅行先でピンと来た本は面白い率が高い」という法則がある。
新幹線待ちの駅の小さい書店でたまたま目についた本、観光中に入った古書店でたまたま手に取った本、こういう偶然出会った本は何かしらの運命に導かれて私の元に来たとしか思えないほど、面白いのである。私は運命とかスピリチュアルとか、そういう類は基本的に信じていないが、でもやっぱり「ピン」と来た本は面白いし、それが旅行先なら尚更だ。
(逆に、何となく流行ってるから読む本は面白くないともいえる。)
そして、その「旅行先でピン」本の中でも一番面白かったのが、「ときどき意味もなくずんずん歩く」である。
どんな本?
ざっくりいうと、「大企業に入ったのに旅行がしたいがために辞めた人の、面白おかしい日常エッセイ」である。
著者の宮田氏は、バリバリの関西人。テンポよくつらつらと綴られる文章の中に、容赦ない関西弁のツッコミが冴えわたっている。
軽快な文章でつづられるのは、大半は旅行エッセイ。ひたすらジェットコースターに乗る旅をしたり、大きい大仏を巡回したり、ウミウシだけを見にシュノーケルをしたり、独特な切り口のエッセイが多い。
今回の記事で紹介している「ときどき意味もなくずんずん歩く」は、旅行以外のエッセイがまとめられているもの。
私は「世界を面白く捉える世界観を持っている人」が大好きなんだけれど、宮田氏はその筆頭。この世界観で人生生きていけたら面白そうだなぁ、と、ゲラゲラ笑いながら尊敬すらしている。説明しろと言われるととても難しいので、ぜひお手に取って読んでもらえたらと思う。
特に好きなのは「スチュワーデス=ゾウガメ理論」。
飛行機が苦手すぎる宮田氏が、ジェットコースターに乗りたいがために編み出した理論である。タイトルのつけ方が秀逸すぎる。こういう言葉遊び(宮田氏は遊んでいないかもしれないが)が出来る人になりたい。
まとめ
特に深く考えずに楽しく読める、最高のエンターテイメントの本だと思っている。
くすくす笑っても大丈夫な場所で読んでください。
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